キャベツ、ブロッコリー、白菜、大根、カブ、小松菜——家庭菜園でよく育てるアブラナ科は種類が多く、気づかないうちに連作になりがちなグループです。
そしてアブラナ科の連作で最も警戒すべきなのが根こぶ病です。この記事では、根こぶ病がどういう条件で起きるのか、pH管理でどこまで防げるのかを整理します。
アブラナ科の野菜
まず、どれがアブラナ科なのかを押さえておきます。
キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、大根、カブ、小松菜、水菜、チンゲンサイ、ルッコラ、からし菜、ラディッシュ、ケール、菜の花。
「葉物」「根菜」とジャンルが違って見えても、これらはすべて同じ科です。大根の後にカブも、白菜の後に小松菜も連作にあたります。種類が多いぶん、輪作計画では最も注意が必要な科と言えます。
根こぶ病とは
根こぶ病は、ネコブカビ(Plasmodiophora brassicae)という原生生物によって起こる病気です。
症状
- 根に大小のコブができる
- コブが水と養分の通り道を塞ぐため、地上部は日中しおれて夕方に回復するのを繰り返す
- 生育が明らかに遅れる、結球しない
- 進行すると株ごと枯れる
地上部だけを見ても判断がつきにくいのが厄介です。「なんとなく育ちが悪い」で片付けてしまい、収穫後に根を抜いて初めて気づくケースが多い病気です。
収穫後に根を確認する習慣をつけてください。コブがあれば根こぶ病、根が数珠状に小さく膨らんでいればネコブセンチュウです。
厄介な点
根こぶ病菌の休眠胞子は土の中で長期間生存します。資料によっては7〜10年生き残るとされ、一度出た畑からの根絶はほぼ不可能と考えた方が現実的です。
さらに、コブが土の中で崩れると胞子が大量に放出されるため、発病した株は必ず抜き取って畑の外に持ち出す必要があります。畑に埋め戻すのは最悪の対応です。
発生条件:酸性土壌と多湿
根こぶ病には、はっきりした発生条件があります。
1. 酸性土壌
根こぶ病菌は酸性の土壌で活発になります。
- pH6.5以下では発病しやすい
- pH7.2以上にできれば、ほとんど発生しないとされる
日本の土壌は雨が多いため放っておくと酸性に傾きます。何も手を入れていない畑は、根こぶ病にとって好都合な状態になっている可能性があります。
2. 多湿
土壌水分が多いほど発病しやすくなります。ネコブカビの遊走子は水中を泳いで根に到達するためです。水はけの悪い畑、雨が続いた後は要注意です。
3. 地温
比較的高温(20〜25℃前後)で活発になります。秋作でも、植え付け直後の残暑の時期が危険です。
対策
対策1: pHを上げる(最も効果的)
酸性を好むという性質を逆手に取り、石灰資材でpHを7.2前後まで上げるのが最も確実な対策です。
ただし、闇雲に石灰を入れるのは避けてください。
- 必ずpH測定キットで現状を測ってから量を決める。ホームセンターや通販で数百円から手に入ります
- pHを1上げるのに、苦土石灰なら1㎡あたり100〜200gが目安
- 上げすぎると微量要素(鉄・マンガン・ホウ素)の吸収が阻害され、別の生理障害が出る
- ジャガイモを植える予定の区画では石灰を入れない。ジャガイモのそうか病はアルカリ性で悪化するため、根こぶ病対策と真逆になります
石灰の種類ごとの違いと使い分けは石灰の種類と使い分け|苦土石灰・有機石灰・消石灰にまとめています。
対策2: 排水を良くする
畝を高くする、通路に溝を切る、堆肥を入れて土の物理性を改善する——多湿を避けるだけでも発病リスクは下がります。
対策3: 輪作する
アブラナ科をあける年数は、葉物(小松菜・水菜など)で1〜2年、結球するもの(キャベツ・白菜)や大根で2〜3年が目安です。
ただしこれは根こぶ病が出ていない畑での目安です。すでに発病した畑では、この年数ではまったく足りません。数年単位でアブラナ科を入れない覚悟が必要になります。
対策4: 抵抗性品種を選ぶ
根こぶ病抵抗性を持つ品種が、白菜・キャベツ・ブロッコリーなどで市販されています。種袋やラベルに「根こぶ病抵抗性」「CR」と表示されています。
ただし抵抗性は菌のレースによって効いたり効かなかったりするので、抵抗性品種+pH管理+輪作の組み合わせで臨むのが基本です。
対策5: 太陽熱消毒
すでに発病した区画をリセットしたい場合は、真夏の太陽熱消毒が選択肢になります。石灰によるpH調整と同時に行うと効果が重なります。手順は連作障害が出た畑をリセットする|太陽熱消毒の手順をご覧ください。
アブラナ科の後作に良い野菜
アブラナ科を育てた後は、次のグループが相性が良いとされます。
- マメ科(エダマメ・インゲン)——アブラナ科は肥料を多く必要とするため、収穫後の地力回復に向く
- ナス科(トマト・ナス)——共通する土壌病害が少ない
- ネギ類
野菜ごとの具体的な相性は個別ページにまとめています。
まとめ
- アブラナ科は種類が多く連作になりやすい。大根の後のカブも連作
- 最大の脅威は根こぶ病。休眠胞子は土中で長期間生き残る
- 発病株は畑の外に持ち出して処分する
- pH6.5以下で多発、pH7.2以上でほぼ発生しない。石灰でのpH調整が最も効果的
- ただし測定してから施用する。上げすぎは別の障害を招く
- ジャガイモの区画には石灰を入れない(そうか病が悪化する)
- 抵抗性品種・排水改善・輪作を組み合わせる
次に何を植えるか決めるときは、連作障害チェックツールで前作との相性を確認してみてください。