9月から11月は、秋冬野菜の植え付け時期です。春に比べると地味な印象がありますが、連作障害の観点では春以上に注意が必要な季節です。
理由は2つあります。ひとつは秋冬野菜にアブラナ科が集中していること。もうひとつは、エンドウ・玉ねぎ・ニンニクといった翌年6月まで畑を占有する野菜をこの時期に決めるため、判断を誤ると1年近く取り返しがつかないことです。
秋冬に植える主な野菜と輪作年限
| 野菜 | 科 | あける年数 | 植え付けの目安 |
|---|---|---|---|
| 白菜 | アブラナ科 | 2〜3年 | 8月下旬〜9月 |
| キャベツ | アブラナ科 | 2〜3年 | 8〜9月 |
| ブロッコリー・カリフラワー | アブラナ科 | 2〜3年 | 8〜9月 |
| 大根 | アブラナ科 | 2〜3年 | 9月 |
| カブ | アブラナ科 | 2年 | 9〜10月 |
| 小松菜・水菜・チンゲンサイ | アブラナ科 | 1〜2年 | 9〜10月 |
| ほうれん草 | ヒユ科 | 1〜2年 | 9〜10月 |
| 春菊 | キク科 | 1〜2年 | 9〜10月 |
| レタス | キク科 | 2年 | 9月 |
| 玉ねぎ | ヒガンバナ科 | 1年 | 11月 |
| ニンニク | ヒガンバナ科 | 1年 | 9〜10月 |
| エンドウ | マメ科 | 4〜5年 | 10〜11月 |
| ソラマメ | マメ科 | 4〜5年 | 10〜11月 |
| イチゴ | バラ科 | 2〜3年 | 10月 |
アブラナ科の多さが一目で分かります。白菜・キャベツ・ブロッコリー・大根・カブ・小松菜・水菜——秋冬の畑はアブラナ科だらけになりがちです。
チェック1: アブラナ科が偏っていないか
秋冬の最大の落とし穴がこれです。
「去年は白菜だったから、今年は大根にしよう」——これは科を変えたことになりません。どちらもアブラナ科で、連作にあたります。
さらに小松菜や水菜のような葉物は栽培期間が短く、シーズン中に2回3回と作ってしまいがちです。これも同じ科の繰り返しです。
根こぶ病に注意
アブラナ科の連作で最も警戒すべきは根こぶ病です。休眠胞子は土中で長期間(資料によっては7〜10年)生き残るため、一度出すと厄介です。
- 収穫後、根にコブがないか必ず確認する
- 発病株は畑の外へ持ち出して処分する(畑に埋めない)
- 予防にはpH調整が有効。pH6.5以下で多発、pH7.2以上でほぼ発生しないとされる
ただし石灰でpHを上げる場合は、必ず測定してから行ってください。詳細はアブラナ科の根こぶ病|発生条件とpH管理にまとめています。
アブラナ科を分散させる
秋冬にアブラナ科以外を植える選択肢も意識してください。
- ヒユ科 — ほうれん草
- キク科 — 春菊、レタス
- ヒガンバナ科 — 玉ねぎ、ニンニク
- マメ科 — エンドウ、ソラマメ
区画のうち少なくとも半分はアブラナ科以外にできると、輪作が回りやすくなります。
チェック2: 夏野菜の後に何を植えるか
秋冬の植え付けは、直前に夏野菜があった区画で行うことになります。相性を確認してください。
トマト・ナスの後(ナス科)
相性が良い — キャベツ、ブロッコリー、大根、カブ(アブラナ科)/ネギ類/エンドウ、ソラマメ(マメ科)/ほうれん草
ナス科は肥料を大量に吸うため、収穫後の土は窒素が減っています。マメ科の根粒菌による地力回復が理にかなっています。またネギ類の根圏細菌が青枯病菌の密度を下げる働きも知られています。
キュウリ・カボチャの後(ウリ科)
相性が良い — アブラナ科/ネギ類/マメ科
ウリ科と共通の病害が少ないグループを選びます。
トウモロコシの後
相性が良い — 多くの野菜。根が深く張って土をほぐし、残肥も吸ってくれるため、後作の受け皿として優秀です。
ただし資料によってはトウモロコシ→大根の評価が分かれます。当サイトのツールではこうした判断が割れる組み合わせを「△」で表示しています。
枝豆の後(マメ科)
相性が良い — 葉物野菜、アブラナ科。窒素が補われているので窒素を好む野菜が向きます
避ける — マメ科(エンドウ・ソラマメ)。連作になります
チェック3: エンドウ・ソラマメの場所は慎重に
秋冬で最も慎重に決めるべきがこの2つです。
- 輪作年限が4〜5年と長い(エンドウは資料によっては5〜7年)
- 翌年5〜6月まで畑を占有するため、失敗すると挽回できない
- 立枯病が出ると収穫までたどり着けない
エンドウは家庭菜園で扱う野菜の中でも屈指の連作嫌いです。記録を確認し、確実に年数が空いている区画を選んでください。空いていなければ、プランターや袋栽培に切り替えるのが安全です。
また、玉ねぎ・ニンニクの後にエンドウ・ソラマメを植えるのは避けてください。ネギ類の後のマメ科は生育不良になりやすいとされる組み合わせです。秋冬は玉ねぎもエンドウも同じ時期に植えるため、前年の配置がそのまま影響します。
理由はマメ科の連作障害|根粒菌のしくみと玉ねぎ後がNGな理由をご覧ください。
チェック4: 越冬野菜は「来年の春」まで考える
秋冬に植える野菜のうち、次のものは翌年まで畑を使い続けます。
| 野菜 | 収穫時期 | 畑の占有期間 |
|---|---|---|
| 玉ねぎ | 5〜6月 | 約7か月 |
| ニンニク | 6月 | 約9か月 |
| エンドウ | 4〜6月 | 約7か月 |
| ソラマメ | 5〜6月 | 約7か月 |
| イチゴ | 5〜6月 | 約8か月 |
つまりこれらを植える区画は、翌年の春夏作に使えません。秋の計画を立てる段階で、翌春の作付けも同時に考えておく必要があります。
とくに玉ねぎを広く作ると、翌春にトマトやナスを植える場所がなくなる、ということが起こります。
チェック5: 夏に太陽熱消毒をした区画
真夏に太陽熱消毒を行った区画は、秋冬作から復帰させます。
- マルチを外した後、深く耕し直さない(下層の菌を表面に上げないため)
- 有用微生物も減っているので、完熟堆肥を入れて土を戻す
- 消毒したからといって輪作年限を短縮しない
秋冬の植え付け前チェックリスト
- [ ] アブラナ科が偏っていないか確認した(白菜→大根も連作)
- [ ] 夏野菜の後の相性を確認した
- [ ] エンドウ・ソラマメの区画は4〜5年空いているか確認した
- [ ] 玉ねぎ・ニンニクの後にマメ科を計画していない
- [ ] 越冬野菜の区画を決めるとき、翌春の作付けも考えた
- [ ] 根こぶ病歴のある区画にアブラナ科を入れていない
連作障害チェックツールなら、前に育てた野菜を選ぶだけでこの確認が済みます。
まとめ
- 秋冬はアブラナ科が集中する。白菜→大根も連作にあたる
- アブラナ科の連作は根こぶ病に注意。収穫後に根を確認する
- エンドウ・ソラマメは4〜5年必要。秋で最も慎重に決めるべき区画
- 玉ねぎ・ニンニクの後のマメ科は避ける
- 越冬野菜は翌年6月まで畑を占有する。翌春の作付けまで含めて計画する
- 夏野菜の後はアブラナ科・ネギ類・マメ科が相性が良い